劇場*491to31

不定期更新短歌ブログです。題詠blog参加などやってます。

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短歌群『at_labo』

皮膚という脆さの上に実線を引けば歪んでしまう命は

臓器とは内蔵された器だと思う、したたる赤のうつくし

試験管ごとに眺める血の濃さのどれが夜闇にふさわしいかを

グラスへと満たせば赤いブラッディ・マリーはすでに血を知っている

シナプスへ走る記憶というもののはやさをあなたは愛してしまう

めのまえのすべての空をうつしとるあなたの瞳だから欲しいの

切断のたびに拭える骨液の下にまことの真円がある

羽根に似ているものばかりとじこめるこの培養器だけが鳥籠

それはまだ歪ではないやがて眼に、こうして手にもなるだろう種

ふられたら風邪をひくっていうくせにそれはなぜかも解らないのね

液というかたちを持たぬものだけが撫でいる生きるものの輪郭

細胞のたゆたう水にこの地球(ほし)のRecipeがあると思いませんか?

水底にとどくひかりを「つめたい」と透かせるような肌がほしいね

この試験管の中にもあるだろうアダムとイヴの海のさざめき

回線をつなぐだけならすぐ終わるそこから未知のものが流れる

死に顔を映すモニターだけ点けるハデスも全て語りはしない

眠らないことを仕事として月は檻のひとつを開いて閉じる

組み立てのきかないパズル、赤々とそまるピースがきらめいていて

偶然に海がうまれる確率で青いダイスをころがしている

一滴の水の中にもある宇宙 cellとよぶときから光りだす

閉じた眼がひらくそれまでひとつづつ真空管をともしつづける

不可能と希望とがあるデスクにも青い薔薇だけ飾っておくわ

てのひらに咲かせるまではまだそっとにぎらせておく花のいでんし

細胞はふえても生きている光 プレパラートがうすくふるえる

塩基っていうけど甘くするくらいならわけないの のぞいてみてね

前例がないものだから細胞のように使える愛をつくった

さあ これが生理食塩水だから飲んで実験室でおやすみ

その腕のなかをほっそりとおる骨 羽根もそこからはえているのよ

人間の敵は人間 夕映えにひとしくそまる書類をつぶす

どちらとも命と言おう指先の天秤皿に乗せているのは

ノアだけが見つめることを知っていた組み上げられる箱舟の空

葉緑素たちがシャーレでふるえだす何億年も弱者だったと

大罪の一つをなくすため食べる魚を目からつくりはじめる

想い出にいつかはふれるための白 ゴム手袋を渦へとひたす

“アリスなら棺をきょうもぬけだしておとぎ話のまま生きている”   

生物は海からうまれでていつか戻るときまでバルブをあける

わたしから足を人魚にしてみせる海へ沈んでゆけるのだから

キメラでも思い出すのよ犬だったころに見上げていた月のこと

ビデンデンのおとめのかたわれをかじるクッキーにまだひとりは残る

一兆分の一のデータを持って出る研究者には白衣がなびく

パパとよぶひとがみつかるようにのむわたしのためのあわいあおいろ

ねえ、なんでわたしはくろいりょうめなの? みんなあんなにまっかなんだよ

呆気なく終わってきえてゆく命だからレンズを光へよせる

つぎは手をうまくうごかせたらなでてあげるから、その首のぬいあと

知恵の実の代わりにふれる舌圧子 何が愚かかもう解るはず

ホルマリン・プールに浮かぶ検体を機械の腕ににぎらせている

ホルマリン・プールに浮かぶ検体は検体だから引き上げるのよ

イルカにもヒトにも海があることは脳波の波がおしえてくれる

「ゴリアテの腕」と書き入れ人体図どおりに骨を切り分けてゆく

ゴリアテの首を切り落としたようにレーザーメスで切るのもヒトだ

人体に大なりと小なりとある闇をひらいてみせてあげます







 どうも。お騒がせしております。
 今回は某企画さまの副産物をこうしてまとめておくことにしました。思うところあって、ツイッターではなくこちらにあげることにした次第です。
 今回は企画さまのコンセプトが想像以上に自分の好みであったこと、ついでそれに乗っかって自分の趣味領域をどこまで短歌に盛り込むことができるかの、まさに「実験場」でもありました。それ故に本来の企画さまの雰囲気とは少なからず違っているでしょうし、各歌のモデルとされているみなさまがいらっしゃいますので、最終的に企画さま本体とは別掲載とすることに致しました。
 なので、この内容に関してはまったくのフィクションでありモデルとなったみなさま方にはまったく関係ありませんのであしからず。同様に、この文の中の人の、みなさまへのイメージにもまったく関係ありません(汗
 上記の理由からも各歌のモデルさま方をネタばらしすることは控えたいと思います。どうぞよろしければ、どれがどなたのものか推理してみて下さい(作歌の過程でできたものはほぼすべて掲載したのでお一人様一首とは限りません)。分かりそうなものですが。
 なお、元の企画主さまご自身が「グロありご注意」と言っていらっしゃる企画なのでそれに甘えましたが、作中のワードはしばしばそういうものを含みます。こればっかしは中の人の趣味ですので、もし検索されました際の責任は取れかねます……あしからず。
 では拙作長らく並べ立てましてお目汚し失礼致しました。
 
 最後になりますが、素晴らしい舞台を作って下さった企画主さまとキャラクター・イメージ提供の某女史さま、素敵な想像/創造の機会を下さった参加者のみなさま、数少ないながら拙作を見ていただけたみなさまに最大級の感謝を。
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テーマ:短歌 - ジャンル:小説・文学

  1. 2014/06/17(火) 20:30:17|
  2. 短歌
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